村井純教授の最終講義 2020-01-16
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グッとくる言葉が多かったので、引用の形でここにメモしておきたい。
はい。それでは皆さん、こんにちは。インターネットの、2019年秋学期の最終回ということで集まっていただきましてありがとうございました。学生は、履修者があふれるはずだけど来てない。ハハハ。その代わり、なんか変な普段見慣れない人も来ているということで、どうもありがとうございました。OBやそういう人たちも来てくれているようで、皆さんへのメッセージも一応用意してありますけれども。
まず、当たり前の世界になったってすごいことだと思うんだよね。それで、この授業では今回歴史の話をしたけど、90年からこのキャンパスをやって、このキャンパスは当たり前であったけど、世の中は当たり前じゃ無かった。それで、井庭ちゃんが今スライド持ってて俺も持ってるんだけど、95年にSFCのキャンパスの統計を取って、学生のインタビューを取って、それでアンケートを取ってそれを井下先生っていう先生がまとめた調査結果があって。その中に、電子メールやインターネットで恋をした人とか、泣いた人とかそういうのが書いてあって、それがすごく多いんだよね。95年でインターネット誰も知らないので、世の中、その統計の論文に彼(井下先生)書いてたんだよね。それで、その論文の結果を俺がスライドにして、世界中で講演するわけ。そうすると日本は特に「気持ち悪い」とか言うわけ。
やっぱりここまでこういう世界をつくってきて、いろんなときに俺は、「世の中悪くなったのはインターネットを創ったおまえのせいだ」っていろんな人に言われてたけど、「はいはい」って言いながらもそこからそれをなんとか、そう(世の中が悪く)ならないようにするための技術の開発ももちろんしてきたわけだけど。でもやっぱり人間が何したいっていうことのプラットフォームを創ってるわけだから、そうすると人間は何したいっていうのは、結構良いことをしたいんじゃないかと思うんだよ。またこういうことを言うとナショナリズムって言われるけど、特にこの国はね。だからそういう意味で、インターネットの基盤ってどんどん良くなるんだけど、良くなるといろんなことがやりやすくなるから悪いこともやりやすくなるんだけど、良いことがやりやすくなるといろんな問題を解いたり、人のためになることをしようとか自分のためになることをしようとか、そういうことがどんどん発展するんで、これからはそういう問題を解決するためのコストが小さくて、そうするとやっぱりいろんな問題を解決しながら発展的に前へ進む世界になると僕は思ってます。だから、超オプティミスティックなの。
俺もスマホでメッセージとか打つのに、増井さんには悪いけどフリック入力っていうのが苦手でつい間違えるね。でも、増井に「フリック入力使えねーじゃねーか」とか言うとすっげー怒られるから、喧嘩になるから。一応知らない人には言っておくけど、増井さんっていうのがフリック入力っていうのを作ったファカルティでここにいるんだけどさ。
弾道計算とか軌道計算とか、そういうすごい難しい物理学の式が解けて嬉しいな、みたいなそういうのが、俺たちが高校大学の最初のころのコンピュータのモデルで、メインフレームはでかい、高い。慶應にもあったけど、高校も大学のコンピュータ借りて行列作って、まあラーメン二郎の行列みたいな。それで、「コンピュータ様、計算してください」みたいな行列がある。偉そうだよね、コンピュータが。俺の頭の中のイメージは、コンピュータが偉くて、その周りに計算してもらいたい人が群がってる、そんな計算機中心みたいな。なんかそういうの大嫌いで。
あ、ねえ、定年後何をやるんですかっていう質問は…? あるんですね。まあ、いいや。
生まれ変わったら…、バナナかな…。
好きなことをやれ。自分を好きになれ。自信を持て。友達と仲良くしろ。終わり。
SFCは慶應義塾が本当に期待を持って作ったキャンパスなんだけど、福沢諭吉が『西洋事情』の中で、1866年だよ、「4つの海は一家。5つの族は兄弟。人類はみんな兄弟だ、ファミリーだ」、それで、左側にはそこが作ったもの。蒸気、経済、電気、電信、そしてそういった人間の道具たち。これが文明につながってくるっていう福沢先生の考えだったの。でも次の絵を見てください、恐ろしいでしょ。地球は1つで電信柱でつながってて、飛脚がそこを走ってるんだよ。インターネットだよ。それで、1866年にこの人(福沢諭吉)はそのコンセプトを持ってんだよ。鎖国してたばかりで飛び出た明治維新より前、このときにこの感覚を持ってるね。でもついに出来たんだよ。それで、福沢先生のこの思いはSFCが作ったんだよ、すごいね。